・五十肩とはいったい何なのか?
・どういった症状?
・どうやって治すの?
・どういった人が五十肩になりやすいのか?
・五十肩に似た症状
・どうやってケアすればいいのか?
など、あなたが思う疑問をできるだけ解りやすく解説します!
~目次~
概要
五十肩とは、肩関節の関節包(関節を包む袋のようなもの)に炎症が起き、痛みが出て関節やその周りの筋肉が固くなることで、肩関節の動きに制限が起き、動きにくくなる症状を一般的に五十肩という言い方をしています。
正式には「肩関節周囲炎」といい、五十肩という診断名はない。
肩関節周囲炎を言いやすい・わかりやすく表現する為、いわゆる五十肩という言い方をする。
名前の通り50代に多く、40代で発症したものは四十肩と言われ、呼び名は違いますが症状は同じです。
全人口の2~5%にかかるとされており、糖尿病の人は約10%発症リスクが高いとされています。
人により症状は様々だが、PC作業など同じ姿勢を長時間続ける仕事をしている人に最も多く、続いて介護・保育やゴルフなど肩や上腕に負担のかかる動作を繰り返す人にも多い。
コロナ禍でテレワークが増え、自宅のテーブルなどでPC作業を行うことにより、会社のデスクに比べ、肩にかかる負担が増し、五十肩になるケースも急増している。
血行を良くすることで痛みが軽快するのも特徴のひとつで、お風呂に入ることで痛みが緩和することが多い。
就寝時に痛くて眠れなかったり、寝れても寝返りをうつ度に激痛で目が覚めたり、約2~3時間おきに痛みで目が覚めたりと、「夜間痛」で熟睡できず睡眠不足に悩む人も多い。
日常では「起床時の痛み・手が挙がらない・伸ばせない・回せない・着替えが一苦労」など、肩や腕に痛みを訴え、初めはできていたのに「徐々にできなくなる・急に激痛に襲われる」など、痛みの発生機序は人により様々です。
症状
五十肩の症状は人によって様々だが、肩関節に炎症が起き、肩関節および周囲の筋肉(上腕・前腕・首など)に痛みが出て、可動域制限が起こる。
可動域制限は、筋緊張が強い状態や関節の拘縮(固まること)が起きることで、制限を超える動作をする度、激痛に襲われる。
五十肩には大きく分けて「急性期」と「慢性期」に分けられます。
症状や原因も医学的に定まっていないことから、急性期以外は「慢性期・拘縮期・回復期」など、人により言い方は様々です。(※ここでは、急性期以外を慢性期として解説していきます)
ただし、どの言い方にも急性期だけは共通しており、注意するのは言葉でなく、急性期と慢性期の過ごし方は全く違うということです。
急性期
急性期は、痛みが出始めてから約1ヶ月間、特に痛みが強い期間を指します。
痛みが強い時期は安静にしている事が一番で、無理に動かしたり伸ばしたり負荷をかけないように過ごしましょう。
無理に負荷をかけすぎると、炎症部分に負担がかかり、組織を痛めて、更に痛みが強くなる可能性があります。
あまりに痛みが強い時は氷嚢を作って10分ほど冷やしてあげると、痛みが軽減する場合があります。
慢性期
急性期(約1ヶ月間)が終わり、痛みのピークが過ぎると慢性期に入ります。
判別は難しいですが、痛みのピークを100%とした場合、80%くらいまで痛みが落ちてきたら慢性期に入ったと思っても良いでしょう。
慢性期は、急性期とは逆で積極的に腕や肩を動かすことで、肩関節の拘縮や筋肉の緊張を緩和させ回復に向かわせることができます。
判断基準として、動かしてその時は痛くても、動かした後に20分くらい経って痛みがズキズキ残らなければ慢性期。痛みが残るなら急性期と判断してケアをしていきましょう。
ただ、痛いからといって大事にしすぎて動かさないと固まってしまうので、痛みのピークが過ぎたなと思ったら、痛くても少しずつ動かすようにしましょう。
急性期は安静に。慢性期は動かす。
ここをしっかり見極めることで、回復の度合いも変わってくるので注意しましょう。
- 手が挙がらない、後ろに回らない
- 夜に痛んで眠れない、寝返りで激痛
- 着替えが一苦労
- 物を取ろうと手を伸ばすと激痛
- ふとした動きで激痛
- 反対の脇の下に手が届かない
原因
ハッキリとした原因については未だ解明はされてはいませんが、PC作業などを仕事にし、同じ姿勢を長時間している人に多いという事実が原因解明になるのではないでしょうか。
近年ではスマートフォンが普及し、上腕二頭筋にかかる負荷が増えたことで気付かぬうちに疲労が貯まり、それを補うためにその周りの筋肉が働き、その期間が繰り返し長く続くことで、肩関節に負担を増やし、五十肩になってしまうと考えてもおかしくありません。
私のYouTubeチャンネルで「視聴者が効果を感じたセルフケアTOP3」という動画でも解説させていただいておりますが、第3位の上腕二頭筋をケアすることで「痛みが楽になった!」という声が多かったことでも証明されます。
ちなみに第1位は「動かすこと」だったので、第2位の三角筋に続き、ほぐしてあげるケアとしては上腕二頭筋に効果を感じる視聴者さんが多かったってことになります。
実際、患者さんを施術していて上腕二頭筋が柔らかい人はいません。
五十肩になる人はマストで硬くなっています。
まずは、しっかり上腕二頭筋に負担をかからない生活を心がけ、マッサージなどでケアしてあげましょう!
やり方はこちらの動画をご参照ください。
検査・診断
「肩が痛い・挙がらない」 = 五十肩ではなく、五十肩に似たような症状は他にもあり、ここを診誤ると悪化してしまうこともあるので注意しましょう!
特に、つくの接骨院に来院される患者さんで多いのが「腱板損傷・断裂」を五十肩だと思って来院される方です。
そのなかで、整形外科や整骨院・整体などで「五十肩でしょう。よく動かしてください」と指示され、「動かしたら悪化した。リハビリ受けたら余計痛くなった。」など少なくありません。
特に気をつけなければいけないのが、整形外科でレントゲンを撮って「骨には異常ありません。五十肩でしょう」と言われ、徒手での検査をしないケースには注意が必要です。
腱板損傷・断裂の検査はドロップアームテストという検査法で行います。
- 手のひらを地面に向け、他人が手首を把持し肩の高さ(水平)まで上げてもらいます。
- 手を放してもらい、水平で維持ができなく、痛みとともに腕が落ちてしまうと陽性
- 同じく手を放してもらい、ゆっくり降ろす際に痛みが強く出た場合も陽性
ドロップアームテストで大結節(肩の先端の下の指ひとつ前)に激痛が出た場合腱板損傷・断裂を疑ってください。
解らない場合はMRIを撮るとハッキリ解るので整形外科を受診しましょう。
ただし、街の小さな病院にはMRIがある所は少ないので、受診し紹介状を書いてもらい大きな病院で撮ってもらうと良いでしょう。
ここで注意点としてはレントゲンには腱は写らないので、レントゲン撮ったからといって安心はしないでください。
MRIがない。身体的理由で撮れない場合は、エコーでも判別が可能ですので病院で相談しましょう。
動画の解説はこちらから↓
治療
治療法は、西洋医学・東洋医学で大きく分かれます。
症状が出ている箇所に対し、投薬や手術などで直接治療をしていく考え方です。
主に整形外科がこれにあたります。
なぜそこに症状が出たのかを考え、原因に対しアプローチしていく考え方です。
主に接骨院や整体院などがこれにあたります。
どちらが良い悪いではなく、その時の状態に最良な方法を選択するのが良いと思います。
急性期では、痛み止め・注射などで安静にし、炎症をできるだけ抑えるように努めましょう。
整形外科を受診した際に、レントゲンを撮り、大体の場合「骨には異常はない」と診断が下るかと思いますが、ここで重要なのが、五十肩に似た症状として、「石灰沈着性腱板炎」があるかないかがハッキリ解ることです。
ひとつの指標として、レントゲンを撮って診断してもらいましょう。
ただし、レントゲンはあくまでも骨を写すものであって、筋肉や腱などの軟部組織は画像には写らないので注意が必要です。
急性期が落ち着き、慢性期に入ったら少しずつやれる範囲で動かしていきましょう。
状態にもよりますが、緊張している筋肉を緩め、積極的に動かすことで筋力も回復し、痛みの軽減や可動域が改善していきます。
ケアの仕方ですが、別の記事で解説していきますので、少々お待ちください。
痛いからといって、大事にしすぎて動かさない事が一番良くないです。暖めて動かすことで改善していきますので、初めは少しずつ自分のペースで動かしていきましょう。
予防・治療後の注意
五十肩の最大の敵は「動かさない」いわゆる同じ姿勢で長時間いることです。
長時間、正座していると足が痺れるように、同じ姿勢でいることは筋肉や神経に悪影響になります。
データから五十肩になる人で最も多いのは、PC作業を仕事にしている人ですので、姿勢をリセットできるようトイレ休憩など仕事の合間に、腕を上げたり、肩を回したり、ストレッチしたりと、こまめに動かすようにしましょう。
五十肩が片側の人は、反対側も生活習慣が変わらなければなる可能性は充分ありますので、反対側もよく動かして予防しましょう。
治療後の注意点としては、少し楽になった、動かしやすくなったからといって、重たい荷物や素早い動きなど負担になる動作は極力控えましょう。
早く治したいからといって、動かす動作をやりすぎるのも悪化してしまう可能性もあるので、体と相談しながら回数を増やすようにしましょう。